転職活動をしてる時に、仕事内容を見てみて「BtoC」か「BtoB」のどっちに応募するか悩んだことはありますか?
人によってはあまり悩まないかもしれませんが、自分はあります。
BtoCとBtoBの違いについて、ネットではいろんな比較が出てきますよね。
いろんなブログの記事を漁ってみると「どっちが良い?」みたいな記事で溢れています。
自分はまずBtoC営業をやって、その後BtoBへ転職した側の人間です。
両方を実際にやってみると、世の中で言われている「どっちが上か」という比較とは、少し違う景色が見えてきます。
この記事では両方を経験した立場から、業務面と感覚面の違いを整理してみます。
まずは「BtoC営業」「BtoB営業」のおさらい
そもそもBtoCとBtoBは、「営業相手が誰か」で分けた呼び方です。
BtoCはBusiness to Consumerの略。個人を相手にする営業のこと。
生命保険、住宅、車、通信、リフォームなど、いわゆる「個人向け営業」と呼ばれる領域がだいたいここに入ります。
BtoBはBusiness to Businessの略。相手が法人になる営業です。
SaaS、システム導入、原材料、広告、人材、コンサルなど、いわゆる「法人営業」と呼ばれる領域がここです。
自分はBtoCで数年やった後にBtoBへ移った人間ですが、同じ「営業」という肩書のままでも、扱う相手と決まり方が違うので、仕事の感覚はけっこう変わります。
ざっくり言うと、
– BtoC=人の生活に向き合う営業
– BtoB=組織の課題に向き合う営業
くらいのイメージで読み進めてもらえると、ここから先の話とつながりやすいかなと思います。
この話、深く話を進めるとBtoB、BtoC以外にもいろいろあります。
BtoBtoB、BtoBtoC(法人向け、個人向けの代理店営業等)
BtoG(自治体向け営業)
等々…。
自分はこれらも経験はしてるのである程度は語れるんですが、話しだすときりがないので今回はシンプルに2つに絞って話をします。
経験談の前にBtoCとBtoBの実務上の違いを5つの軸で整理する
実務面でいうと、いちばんわかりやすい違いは「相手が誰か」「どのくらいで動くか」「誰が決めるか」「いくらの取引か」「契約後にどう続くか」の5つです。
顧客
BtoCの相手は基本的に個人で、その人の感情や生活背景がそのまま判断材料になります。
趣味、家族構成、いまの生活への不満、将来への不安。
提案する商品のスペック以前に、その人の物語の中に商品をどう置くか、という勝負になりやすい。
個人営業、と呼ばれるだけあって本人の思惑がメイン。
他者の意見が入るとしても配偶者や家族といった少人数の中で完結することが特徴ですね。
BtoBの相手は法人ですが、実態は複数の人間の集合です。
立場ごとに思惑がバラバラで、現場担当が前向きでも経営層が冷ややか、ということも珍しくありません。もちろん逆もしかり。
自分の場合はIT業界で営業をやっているため、情シスまで絡んできます。
現場・情シス・経営層で全部意見が違う、みたいなパターンまであります。
「会社対会社」という言葉以上に、「人と人の組み合わせ・折衝」を読む仕事になります。
案件サイクル
BtoCは最短で即日、大体の案件は数週間以内で動くことが多く、月の中で何度も「決まる/決まらない」が回ります。
ケータイショップなんかを例に出すと分かりやすいと思います。
来店した客に対して様々な商品を提案し、その場で即決を促す。
実際機種変更に来たらめちゃくちゃ営業されたって方、多いんじゃないでしょうか。
BtoBは数か月から半年、長いと年単位。
導入検討、稟議、決裁、契約、と工程が分かれていくからです。
案件によっては、1年目で予算取りをして、2年目で本格検討みたいなことがあります。
決裁構造
BtoCは目の前の人が決裁者になりやすい。
だいたいは本人の事、家族の事なので、決裁までの流れが非常にスピーディ。
BtoBは「現場担当」「上長」「情シス」「経営層」と関与者が増えやすく、誰がどこで首を縦に振るかで全体のスピードが決まります。
単価
これは業界や商材によるので一概には言えない話です。
とはいえ、BtoCは売上単価の低い商材がメインになりやすい。
対してBtoBは、案件単価が大きく振れる傾向です。
ここは、かかわる人数や期間がそのまま単価感につながるイメージですね。
人数が多く、時間がかかっているほど営業費用がかかるので、ある意味当然ですよね。
先ほどまでに話してきた案件サイクルや決裁構造、かかわる人数のところから何となく理解をしてもらえるんじゃないでしょうか。
契約後の関係性
BtoCは契約してそこで終わり、後の対応はサポート窓口等で行うことが多いですよね。
先ほど例に出したケータイショップもそうですし、ウォーターサーバーを契約している方なんかもそうなんですが…
皆さん、最後に対応してもらった営業担当と連絡を取り合うこと、ありますか?
そういうことです。
これに対してBtoBは契約がスタートライン、とよく言われます。
まずはスモールスタートとして小口の契約を作り関係性を作る。
その後、追加提案や保守の提案等を通じて段々大口の契約に変えていくような流れになります。
「売って終わり」ではない時間軸で動く前提になります。
ここまでは教科書にも書いてある話に近いですが、実際にやってみると、この「相手・期間・決裁・単価・関係の長さ」の組み合わせが、毎日の感覚そのものを変えてきます。
同じ「営業」という名前でも、頭の使い方と時間の感じ方は別物に近いです。
感覚的にいちばん変わったこと|行動量で殴れなくなる
業務面の違いより、自分が苦労したのはむしろ感覚のほうでした。
BtoC時代は、行動量で殴れる世界でした。
ひたすらアポ取りして、会って、提案して、決まるか決まらないかが短いスパンで返ってくる。
数字が悪い月でも、翌週から動き方を変えれば月末に間に合うことが多かったです。
PDCA回し放題。
自分が新人で達成率29%しか取れなかった頃、自分用のトークスクリプトを作り直して翌月から数字が跳ねたことがあるんですが、あれもBtoCの短サイクルだったから成立した話でした。
今日変えて、明日試して、来週には結果が見える、という速さがあったわけです。
BtoBに転職してまず戸惑ったのは「動かない時間」が長いことでした。
提案して、待つ。
社内稟議で待つ。
決裁ルートで待つ。
自分側ができる手数が少ない期間が、平気で1〜2か月続きます。
行動量で殴れない世界に来てしまった、というのが最初の感覚でした。
これは怠けているわけでもサボっているわけでもなくて、案件の構造的にそうなる。
「アポを増やしたら数字が上がる」感覚で生きてきた人間からすると、ここはなかなかしんどい部分でした。
待ち時間の中で何をするかで評価が変わる仕事だと頭を切り替えるまで、自分はわりと時間がかかりました。
手数の多さではなく、案件を進める一手の精度や、待ち時間を埋める情報収集の質で結果が変わる。
これは「質を上げるためには量をこなせ」の考えで動いていたBtoC時代には持っていなかった視点でした。
BtoBからBtoCに戻りたいと感じる人がいるのも、たぶん同じ理由の裏返しなんだと思います。
動いた手数がそのまま跳ね返ってくる感じが、人によってはどうしても恋しくなる。
長期戦の中で他部署と擦り合わせ続ける仕事に、手応えのなさを感じてしまうタイプも一定数います。
「楽か楽じゃないか」ではなく、「自分の体が乗りやすい速さ」がどちら寄りか、という話に近いです。
BtoCに向いている人/BtoBに向いている人|人柄ではなく「仕事の好み」で分ける
向き不向きの話をすると、つい性格論になりがちです。
実際、一言で説明してと言われると「BtoCは明るくてノリと勢いがある人」「BtoBは冷静で一件ずつ丁寧にやれる人」って答えると思います。
ただ両方やってみると、性格より「どのリズムで仕事をしたいか」で分けたほうが近い気がします。
BtoCに向いていそうなのは、こんな感覚を持っている人です。
– 短いサイクルで結果が見えるほうがやる気が出る
– 目の前の相手と直接話して決めたい
– 自分の動き方ですぐ数字が変わる感じが好き
– 1日の行動量で進捗を実感したい
BtoBにフィットしやすいのは、こういうタイプだと感じます。
– 長期戦で1案件を仕上げていくのが好き
– 立場の違う関係者を整理するのが苦じゃない
– 数字より「進捗の質」で自分を測れる
– すぐ結果が出ない時間に耐えられる
どちらが上、という話ではありません。
瞬発力を武器に短サイクルで殴り続けるのが向いている人もいれば、継続力を武器に長期戦で組み立てていくほうが消耗しない人もいる。
自分はBtoC時代の「すぐ結果が見える快感」がかなり性に合っていたタイプなので、BtoBに来てからしばらくは「自分には向いてないかも」と思った時期もありました。
それでも、BtoBに移ってから、1年かけて1案件の成約につながったときの手応えは、BtoC時代の「即決」とは違う種類の達成感だな、とも感じています。
向き不向きは固定値ではなく、自分の中の比重の話かもしれません。
BtoCからBtoBに転職した時、最初に戸惑うポイント
実際に転職した直後に効いてくる戸惑いポイントを、3つに絞って書いておきます。
1つ目は、「数字が動かない時間」をどう過ごすかです。
BtoC感覚のままだと、進捗のない数日が続くだけで焦り始めます。
行動量で挽回できないので、案件全体のどこに自分のひと押しを置くか、を考える時間が増えていきます。
焦って手数を増やしても、相手企業の決裁スピードは変わらない。
その待ち時間にどんな「プラスアルファ」の情報や提案を用意するかが勝負になります。
ここで一度、自分のペースを案件のペースに合わせ直す作業が要ります。
2つ目は、社内調整の比重です。
BtoBは外向きの提案と同じくらい、社内向けの調整が多いです。
技術部門への確認、上長への報告、稟議の通し方。
営業活動の半分くらいが社内側にある、と感じる場面も普通にあります。
「営業=外でお客と話す仕事」だと思っていると、ここのギャップは大きく感じやすい部分です。
3つ目は、情報の取り方が変わることです。
BtoC時代は、お客さんが直接ニーズを話してくれることが多くて、現場の温度がそのまま入ってきました。
表情、口調、家庭環境への触れ方。
一次情報のかたまりが、目の前の会話に全部のっている感覚でした。
BtoBになると、相手企業の本音が現場担当の言葉だけでは見えないことが増えていきます。
誰が何を気にしているのか、決裁ラインのどこに引っかかりがあるのか、を間接的に拾いにいく必要が出てくる。
当然、相手もプライベートではなく社会人として向かい合ってくれてます。
社内情勢について言いたくても言えない本音の一つや二つあるもんです。
雑談、別件の問い合わせ、メールの返信スピード。
そういう一見「営業活動の本筋ではないところ」から、相手企業の温度を推し量る場面が増えていきます。
ちなみに自分はBtoC時代、タバコを吸わないのに喫煙室についていっていた時期がありました。
当時は社内営業のつもりだったんですが、後から振り返ると、あの場で拾えていた「他部署の本音」「上層部の温度」みたいな情報の質は、今のBtoBで言うところの「決裁構造を読むための情報」とほぼ同じ種類のものだったなと思います。
これについてはそのうち記事にします。
情報の取り方の場所と種類が変わっただけで、必要になるものは案外似ているのかもしれません。
そういった経験があったとしても、BtoCの感覚のままBtoBに飛び込むと最初の3〜6か月くらいは「やっぱりBtoBの営業は向いてないんじゃないか」と感じる時期が来ます。
これはわりと普通のことなので、必要以上に深刻に受け止めなくていい部分でもあります。
逆向き(BtoB→BtoC)でも構造は同じで、最初の数か月〜半年は慣らしの時間と思っておくくらいでちょうどいいです。
まとめ|BtoCとBtoBは難易度差ではなく性質差
BtoCとBtoBの違いは、上下や難易度というよりは、
– 相手の人数・組織単位
– 動くスピード
– 決まり方
– 単価の感覚
– 契約後の関係の長さ
の組み合わせの違いです。
短サイクルで動き続けるのが性に合う人もいれば、長期戦をじっくり組むほうが消耗しない人もいる。
両方を経験して思うのは、向き不向きは仕事の中身ではなくリズムの好みで決まる、というシンプルな話でした。
どちらに転職するかを迷っている時は、年収や難易度の比較を一度脇に置いて、「自分はどのリズムで働きたいか」を軸にしてみると、選び直しの材料がもう少し見えてくるかもしれません。
もっと深く語ろうとすれば「年収面で見る違い」「案件別の違い」など切り口はいろいろあるんですが、今回はここまでにしておきます。
続きはまた別の機会に。


コメント